努力主義を考える

かっての生徒(Gymnast)へのメール

返信に感謝。

さて、僕があなたにメールを送るようになったのは何故かといいますと、それは一言で言うと単純に心配だったからです。当時あなたと一緒に練習していた仲間は、みんなピュアで真剣、真面目、一生懸命でした。もちろん楽しんで体操を追求してくれていたことはよくわかっています。本当に懐かしくよい思い出になっております。

ですが、漠然と「なんか違う」という不安を持っていました。それは何かというと、「がんばる」という価値観に対する息苦しさです。ですから気付いておられたかどうかはわかりませんが、僕は世の大人とは根本的に考え方が違うのです。

エムトップを閉鎖したのは表向きはコロナを理由にしておりますが、実は日本中に蔓延している価値観「がんばれ至上主義」を克服したいからでした。これを「努力主義」という言い方をするかたがおられます。日本人の美徳とされているものです。

今日は週1回しかない「こども運動クラブ」の日なんですが、まさに「がんばり」なんかない、ただただ「楽しく運動する」だけのアクティビティです。傍目には「お遊び」にしか見えないような、楽しさにフォーカスしたものです。

いつも僕のそばにやってくる女の子(小5)がいますが、「学校嫌い、面白くない」といつも訴えてきます。「こども運動クラブ」は毎日来たいくらい楽しいのに、ということだと理解しています。この子は自分の気持ちに正直に生きていていますね。

楽しいのは、やっていることが勉強ではなく、運動だからでしょうか?

僕の考えでは、違うと思うのです。

どちらも同じこと。それを支える「価値観」に問題があるという見方です。

日本人の多くは、「がんばる」という価値観を優先順位一位におく「宗教」のようなものに支配されてしまっているということです。なぜこの価値観を宗教かといいますと、合理的な説明がだれもできないからです。

ためしにあなたは、「なぜがんばらなくてはいけないの?」という疑問を、先生や大人にしたことはありますか?そのとき大人はどんな答えを用意したでしょう?

「将来有利な職業につき幸せな人生を送るため」

こうなるのではないでしょうか?

これでわかった気持ちになって「がんばっている」のが、あなたやこどもたちなのです。なんか釈然としないけどまあ仕方がないかと思うし、がんばって結果がでたら喜びもあるしね。現に、あなたにも、体操競技で入賞したり、受験勉強を勝ち抜いた喜びはあったでしょう?

その喜びは長く続きましたか?

きっとすぐに色褪せますよね。

束の間、一瞬です(*^^*)

でもその喜びもつかの間、次の目標を見つけなくては、すぐに不安が襲ってきます。もし見つかれば、なんとかなります。でも今、目の前にあるのは、大学カリキュラムの一般教養なるもの。こんなものいまさら?となります。で、仕方なく課題をこなすしかなくなります。ほぼ、世の中はこの繰り返しです。

あなたの今感じている不安は、痛いほどよくわかります。これまでの何回かのメールで、気づかせてしまったのかもわかりません。学生時代の僕にもありましたし、こうしてメールを送るようになった今も同じ気持ちでなのです。

ひとつハッキリいいます。心配はいりません。答えはあります。僕はすでに見つけています。

ですが、その答えは簡単に人から教えてもらうことはできません。自分でつかんでいかなくてはならないのです。人生の旅客機は、今寄港地で一休みです。この答えを見つけるために、少し補給が必要なのです。美しい景色や、これと思う人との交流もよいでしょう。好きな動物との触れ合いや、ダンス等。ゆったり時間を楽しんで下さい。

当時中学生だったあなたももう19歳です。こんな長いメールを送れるようになりました。しかもしっかり読んでくれています。とても嬉しいです。楽しさにフォーカスしてください。

いつかお会いできる日がくると信じています。それまで、折に触れメールいたします。それでは、今日はこのぐらいにします。

ご自愛ください。

松田

前回のメールより

○○○○様

メール拝受しました。返信に感謝します。今朝は、また雨になりましたね。そちらはどうですか?大学の対面授業ははじまりましたか?僕のメールは長いので、苦労されましたか?僕には、伝えたいことは山ほどありますので、少しずつにしていきますが、こんなこと聞きたくないと思われたら、遠慮なくお知らせ下さいね。 

今日は一つだけ。

旅客機に乗って旅行はしたことはありますか?あると思うのですが、飛行機は離陸態勢に入るとき急激に機首を上げて膨大なエネルギーを放出して上昇していきますよね。グングン昇っていき、やがて水平飛行に移ります。機内アナウンスがあり、何事もなかったかのように機内サービスが運ばれてきます。シートベルトもはずせてリラックスした雰囲気になります。

大学生になったということは、そういう意味です。

旅客機の場合、目的地は決まっています。やがて目的地の空港へ向けて着陸態勢に入ります。ところが、人生という旅客機には目的地がないのです。目的地がないまま飛び上がってしまったのです。膨大なエネルギーを放出(受験勉強)して大空に飛び上がったけどやがて着陸しなければならない。どこへ?

これが今回お伝えしたいことです。

大学在学期間中に見つかると良いですね🎵

ただ、まだこの先があるのですが、それは次回にしておきます。

ご自愛下さい。

松田

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